72年前に出版されて以来、聖書につぐ世界的ベストセラーとも言われているサン=テグジュペリの「星の王子さま」をお読みになった方も多いと思う。
このお話は、今まで74年と83年に映画化されているが、今回は原作のイラストの味を活かしたアニメ(回想シーンの和紙で作られたキャラクターによるコマ撮りが美しい)作品。
「リトルプリンス 星の王子さまと私」
主人公の女の子は、名門の学校に入学するためにお母さんの見つけた格安の家に引っ越して来る。
何故、その家が安かったのかというと、 隣りにとんでもないお爺さんが 住んでいたからだ。
そのお爺さんは、パイロットで、庭に置かれたおんぼろ飛行機を直して、何とか飛び立とうと企てている。
そのお爺さんとなか良くなった女の子は、彼から不思議な王子さまの話を聞くのだった。
この映画のなかの世界では、「星の王子さま」の物語はお爺さんの思い出のなかにしか存在せず、女の子を通して、原作の世界を観客は知ることになる。
その分、現在の女の子とその後の王子さまの出会いの物語が短いので、ちょっと物足りなさを感じさせてしまうのはもったいない作り方だとは思う。
サン=テグジュペリ自身は「星の王子さま」が出版された翌年の44年7月、偵察飛行のために出撃後地中海で消息を絶ち、その搭乗機は98年に発見された。
彼の魂は、今も王子さまとともに星の世界を旅しているのかもしれない。
2015.12.19