カテゴリ
フォロー中のブログ
以前の記事
2023年 09月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2021年 12月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 02月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 10月 2019年 05月 2019年 02月 2018年 12月 2018年 10月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 03月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 09月 2016年 06月 2016年 04月 2016年 03月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 05月 2013年 03月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 05月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 08月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 10月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 02月 2008年 12月 2008年 09月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 09月 2007年 07月 2006年 12月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 04月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 10月 2004年 08月 2004年 07月 最新のトラックバック
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
F氏※のリクエストお応えして?時間ものSFの二回目の登場である。
大変なんだから、このテーマは……ほんとに。 (と、書き始めたら、PCが休刊になってしまった。まあ、どうせ古い話ばかりしているのだから、このまま続けよう) *注! ここから先は、すでに「12モンキーズ」をご覧になった方のための文章です。 多分、読んでしまっても、作品鑑賞の邪魔にはならないと思いますが、映画はなんの先入観もなしに見たい、という方は、ご覧になってからお読み下さい。 (ただし、これはあくまで極私的「12モンキーズ論」ですので、もちろん異論のある方もいらっしゃるとは思いますが…) 『12モンキーズ』 (1996年/監督テリー・ギリアム/ブルース・ウィリス、マデリン・ストーン、ブラッド・ピット) この映画の一番の難物は、どうもラストシーンであるらしい。 というのも、映画通の人間に聞いても、私より本格的なSFファンに聞いても、「あのラストシーンの意味がもう一つ良く分からなかった」という人が多かったからである。 彼等に、私なりの解釈を話すと「ああ、そういう事だったのか、それで話の辻棲が合った」と言ってくれるところを見ると、多分私の解釈はそれほど外れてはいないと思うのだが。※ それでは、ストーリーを振り返りながら考えてみよう。 人類の内50億が、謎のウィルスによって死に、生き残った者達が地下で暮らしている時代のお話である。 終身刑のジェームズ(ブルース・ウィリス)は減刑と引き替えに熊やライオンのうろつく(これも伏線になっている)地上に生物のサンプルを捜しに行くように命令される。 それをうまくこなした彼は、『人類を地上に戻す助けとなる任務』を与えられることになる。 さて、その任務とは、彼がぶち込まれた精神病院の審問会で明かすことになる『もう起こったことは防げるわけがない。俺は、現在生きている人間を救うためにウィルスのルーツを探っている』というものだった。(さ、このセリフが大問題なのだ。見ている方は、目まぐるしく変わる話の展開に、この最も重要な言葉を、何時しか忘れてしまう危険があるからだ。このセリフさえ頑に叩き込んで置けば、ラストで「?」となることはなくなる筈なのだ) 精神病院で知り合ったキャサリン(マデリーン・ストウ)という精神科医を道連れにしたジェームズは、現在と過去(彼にとっての)を行き来しながら、次第にウィルスとそれをばらまいたと思われる12モンキーズにという集団に近付いて行く。 その途中、ジェームズは、またまた重要なセリフを口にする。 『純粋ウィルスをばらまいたやつを捜し、奪い、科学者にそれを渡す。科学者は、治療法を捜す』 この時点でも、彼の任務はいささかも変更されてはいない事が分かる。 そして、12モンキーズの首領が、精神病院で知り合ったジェフリー(ブラッド・ピット)だと知った彼は、ジェフリーのもとへ行ってこう言う。 『俺には君の計画を止める力はない』 そして、逆にウィルスをばらまく計画を思い付いたのは自分ではないのかという考えを吹き込まれ、次第に現実と妄想の区別を失って行くことになる。 その辺りから、キャサリンは、反対に、ジェームズの言っていることが本当の事なのかもしれないと気付き始めるのだ。 そしてついに、ある電話がきっかけで、二人はすべてが現実だと知ることになる。 だが、ウィルスをばらまいた犯人は、12モンキーズではなかった。彼等のやったことといえば、動物園の動物達を逃がしたことだけ。(これが、冒頭の地上の様子にと繋がって行く) 犯人が分からぬまま警察に追われ、変装して空港に行った二人。そこでキャサリンは、ついに真犯人に気が付くことになる。それは、細菌学者であるジェフリーの父親の助手だった。 その男を止めようと銃を構えたジェームズは、後ろから警官に心臓を打ち抜かれてしまう。(ここではじめて、映画の中に何度も登場する、ジェームズの子供の頃の記憶が現実と一致する。彼は、【自分が殺される】のを、目撃していたのだ) さあ皆さん、ここが問題なのですよ。果たして、ジェームズは、任務に失敗したのでしょうか? いいえ、彼は、『ウィルスを奪う』ことこそ出来なかったものの、『純粋ウイルスをばらまいたやつを捜す』事には、見事成功したのです。 さあ、思い出しましょう。彼の任務は、『人類を地表に戻す助け』であって、決して『歴史を変えて人類を救う』事ではなかったことを。(第一、彼が、犯人を見付けた時点では、すでにウィルスの入った試験管は、蓋を開けられてしまっていたのですから) それではじめて、ラストでジェームズを過去に送り出した女科学者(どうも、この女優の年齢不詳の容貌が、混乱に拍車をかけているらしい。例のSFファンは、飛行機の中の彼女は、若い頃の彼女であって、年を取らないタイプの女という設定なのかと思っていた、そうだ)が、飛行機の中の真犯人の隣の席に座って、「救済保険業よ」というセリフの意味が分かるのである。 彼女は、未来における人類を救うために、犯人からウィルスを手に入れにやってきたのである。 という訳で、この映画は、(主人公にとっては悲劇的な終り方だが)人類にとっては、ハッピー・エンドなのでありました。(だから、最後に、ルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」が流れても不思議ではないのだ) さ、これで、テリー・ギリアムは、うまいこと「歴史改変」というとてつもないパラドックスに手を触れること無く、めでたく物語を締め括ることに成功したわけだ。 何度も強調される「俺の任務はウィルスを捜すこと。50億人の死は防げない」という言葉。 繰り返される、自分自身の死の場面。未来と過去を繋ぐ数々のエピソード。 そして、この時代に残りたいという主人公の願いを無残にも打ち砕く一発の銃声こそ、パラドックス防止のための決め球に他ならなかったのである。 ▼ ※この文章を書き始めた頃、SF仲間が「12モンキーズ」のノベライズを持ってきた。ほぼ映画に忠実に活字に起こされていて、ラストの解釈も概ね私の考えていた通りだった(登場人物の性別が入れ替わったりはしているが)。 この本を読んでから、もう一度見直すと、より分かりやすいかもしれない。 ※このシーン、「ジェームズが、子供の頃この光景を見ていた、という事実は、すでに歴史の一コマとして組み込まれているのだから、パラドックスの原因にはなり得ない」という事を強調するためにも、何度も登場するのである。 と、以上が私なりの結論なのでありました。 追記 (※F氏=この文章を乗せていた同人誌「PC◆ダイアリー」の主催者。「PC◆ダイアリー」は、その後復刊下が、また休刊になったまま現在に至る。) 1997.5.1
by ctkuromame
| 2005-09-20 11:36
| 少しばかりSFな日々
|
ファン申請 |
||