さて、映画初心者のわたしが熱心に映画館に通うようになったのには、二つのきっかけがある。
最初のきっかけを作ってくれたのは、高校の同級生のUであった。
彼は、わたしのような軟弱な映画ファンとは違い、
お爺さんが、昔、東京で映画館の支配人をしていたというごく由緒正しい(?)映画ファンである。
彼とはじめて見に行った映画は、確か、ジェーン・フォンダ主演の「バーバレラ」(昭和43年)だったと思う。もともとは、フランスの大人向けコミックが原作のこの作品、今見たらそれほど過激なお色気があるわけでもないが(主演がジェーン・フォンダ、というせいもあるけれど)当時としてはけっこう大胆なSFファンタジーだった(この年はSF映画の当たり年で「2001年」や、「猿の惑星」も作られている)。
その映画以来、Uには、日本映画をはじめ、さまざまな映画の面白さを教えてもらうことになる。
で、もう一つのきっかけというのは、美大の受験に失敗して通うことになった、美術系の予備校の講師のひとこと。
「映画は、色彩の勉強になるから、見た方がいいよ」
彼は、確かに「見た方がいいよ」とは言ったのだが、「必ず見なさい」とは言わなかった。
だが、根が素直なわたしは、それからせっせと名画座通いをはじめることになったのである。
さて、前口上はこのくらいにして、次回からぼつぼつ本題(?)に移らなくては……。
2001.12.22