考えてみると、01年の暮れから02年の春にかけても「ハリー・ポッター」と「ロード・オブ・ザ・リング」で盛り上がっていたのだ。
02年も「ハリー・ポッターと秘密の部屋」で暮れ、今年も「ロード・オブ・ザリング/二つの塔」がやって来る。
昔から、「剣と魔法の物語」は、映画の大きな題材のひとつではあったけれど、CGがここまでリアルに虚構を描き出せるようにならなければ、これほど盛んにはならなかったに違いない。
科学とテクノロジーの発達が、ファンタジーの隆盛を生み出すことになろうとは、なんとも皮肉な結果ではあるよね(限りなく発達した科学は、限りなく魔法に近くなるっていう言葉もあるけれど)。
ただし、ファンタジーの世界を支えているのは、映像の面白さだけではない。
「ロード・オブ・ザ・リング」の原作「指輪物語」が世に出てからすでに半世紀近く(私が読んだのも20年も前になる)、その間世界中で変わらぬ人気を保ち続けてきたのも、「物語」の面白さゆえだろう。
映画を見て、「ロールプレイングゲーム」みたいだと言った若い人がいたけれど、それもそのはず、ゲームそのものが「指輪物語」のファンたちによってはじめられたものなのだ(昔はパソコンではなく、人間同士が行うゲームだった)。
これからもこういったファンタジー映画は作られ続けていくだろう。
だって、映画というもの自体が、スクリーンの上に描きだされた光と影の魔法にほかならないのだから。
2003.1.1