昨年後半の海外の話題作を振り返ってみると、ひとつの共通項が見えてくる。
「HERO(英雄)」「キル・ビル」「マトリックス レボリューションズ」「ラストサムライ」…。
それは、大作ということでもCG作品ということでもなく、「日本映画(文化)」というキーワードだ。
「HERO」は、舞台も物語も中国のものだが、衣装はワダ・エミ、バックに流れるのは鼓童の太鼓、ストーリー展開は「羅生門」である。
「キル・ビル」は、監督タランティーノの日本映画フリークぶり(それもかなりマニアックな)満載の作品。
「マトリックス レボリューションズ」は、ラストに行くにしたがって日本のアニメそのままの映像になってしまう(というより、この作品自体、すでに実物の人間や物体を駒に使ったCGアニメになってしまったと解釈した方がスッキリするのではないだろうか)。
「ラストサムライ」に至っては、完全にハリウッド版日本映画(多少違和感はあるものの)である。
「ジャポニズム」というのは、19世紀、日本の浮世絵などに影響を受けたヨーロッパの作品をさす言葉だが、21世紀の映画作家たちは、どん欲に日本のビジュアル作品のエキスを取り込もうとしているようだ。
大ヒットはしたが、何となくテレビサイズから抜けきれないような作品が多かった日本映画(はっきり言ってしまえば「踊る大捜査線2」のような)の作家たちは、果たして今年こそ日本映画の財産を生かすことができるのだろうか?
2004.1.10