6人の試される人びと
今年の5月21日からいよいよ「裁判員制度」がはじまるが…。
法律の専門家ばかりでは、判断が偏るということで導入された制度のようだが、果たして、まったくの法律の素人が参加して、殺人や強盗といった重大な犯罪を冷静に審理することなど出来るのだろうか?という疑問はぬぐえない。
判決まで関与するとなると、「えん罪」という不安はどうしても考えざるを得ないしねえ。
「12人の怒れる男」(57年)というアメリカ映画がある。名匠シドニー・ルメットによる、陪審員制度の裁判を描いた名作である。07年にはロシアでもリメイクされて話題になっている。
英米などで採用されている陪審員制度は、日本の裁判員制度と違って、審理や評議は裁判官抜きの陪審員のみで行われるのだが、映画は、その密室での評議と評決までの模様を描いている。
スラム街で殺人事件が起きる。18才の少年が容疑者として逮捕され、被害者となったのは彼の父親だった。
さまざまな証言や証拠から、少年が有罪であることはまず疑いないように思われ、裁定もすんなり出るかに思われた。
だが、陪審員のひとりが「たった5分の話し合いで少年の将来が決まっていいのか」と無罪を主張したことから、熱い討論がはじまるのだった。
その、ただひとり無罪を主張する男を演じているのはヘンリー・フォンダ(製作も)。裁判員に選ばれた人たちが、彼のような熱意を持った人ばかりだといいのだが…。
2009.1.17