映画の雑貨店
2023-09-15T10:53:31+09:00
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映画雑感
Excite Blog
210)燃える地球
http://cinemania.exblog.jp/241926177/
2023-09-15T10:53:00+09:00
2023-09-15T10:53:31+09:00
2023-09-15T10:53:31+09:00
ctkuromame
未分類
8月に発生したハワイのマウイ島での火災では、わかっているだけでも百名以上の死者が出ている。 ハワイばかりでなく、世界のあちこちで大規模な火災が起きて、カナダでは、日本の37%にあたる面積が焼失したなどというニュースが入ってくる。
起きているのは火災ばかりではない。それまでには経験のないような豪雨による水害や、逆に干ばつによる砂漠化も起きている。
そんな、異常な気象が続いて、人類が生存できる環境としての地球の寿命が尽きようとしている世界が舞台の映画が「インターステラー」(14年)だ。
かつてNASAで働いていたクーパーは、過酷な世界で農業をして暮らしていたが、ある時、娘のマーフの部屋で起こる奇妙な出来事をきっかけに、今は存在しないはずのNASAの秘密基地にたどり着き、そこで行われている人類を救うための「ラザロ計画」に参加することになる。
地球に変わる星を求めて旅立ったクーパーを待ち受けていたのは?
日本では、町がそっくりなくなるというような惨事にこそなっていないが、度々大きな洪水や山火事が起きている。
それらの災害は、地球の温暖化が大きな要因だと言われている。
長い目で見れば逆に寒冷化に向かっているのだなどという話もあるが、ここ何十年かのスパンで見れば、地球が異常気象に向かっているのは間違いないだろう。
人類が他の星を探しに行くようなことにならぬよう出来ることはなんだろう。
2023.9.8]]>
209)君たちはどう見るか
http://cinemania.exblog.jp/241926176/
2023-09-15T10:52:00+09:00
2023-09-15T10:52:42+09:00
2023-09-15T10:52:42+09:00
ctkuromame
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「風立ちぬ」から10年。何度も引退宣言をしながら不死鳥のごとく蘇る(?)宮崎駿の新作が公開された。「君たちはどう生きるか」
同名の、生きる意味を説いた吉野源三郎の小説からタイトルを取った作品で、今までの宮崎駿の作品とはかなり趣が違うから、お堅い内容なのかなあと思う方もいるかもしれないが、どうかご安心を。
原作・脚本・監督が宮崎駿自身なのだから、そんなお説教じみた堅苦しいお話になるわけがないのだ。
今までの作品タイトルにしても、宮崎駿自身が気に入ってつけたものではなかったようであるしね。
第二次大戦の最中、空襲による火災で母を失った少年の眞人は、父の再婚相手(母の妹)の大きな屋敷へと疎開してくる。
その屋敷の広い庭の片隅には、今は入り口が塞がれた古い不思議な塔があって…。
一種の冒険ファンタジーなのだが、話が分かりやすいかといえばそうでもない。
監督自身が「訳が分からないところがありました」などと言っている通り、見る人によっていくらでも解釈ができる筋立てではある。
生と死のメタファーで構築された世界、と言ったらますます分かりにくいか。
とにかく、今までの宮崎アニメで描き足りなかった部分をこれでもか、とばかりにぶち込んだ世界。
テイストが近いのは「ハウルの動く城」や「崖の上のポニョ」あたりかな。
ああ、この場面はあのアニメ、ああ、この人はあの人、と宝探しをしながら見るのも一興かもしれない。
2023.8.5]]>
208)ある日森のなか
http://cinemania.exblog.jp/241881696/
2023-07-21T21:21:00+09:00
2023-07-21T21:21:45+09:00
2023-07-21T21:21:45+09:00
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市からの緊急通知のメールに「クマ目撃情報」が多くなる季節だが、今年はいつも以上に多いようだ。 北海道では、OSO18という名前からしておそろしげなヒグマが、すでに60頭以上もの乳牛を襲っている。
自然環境の変化で餌が減ったのか、山や森の実り以上に熊などの野生生物が増えてしまったのか、里山の手入れがされなくなって人家に近づきやすくなったのか、いずれにしても人間に対する危険も増えている。
さて、熊の出てくる映画は、結構数がある。野生生物を題材にした、または登場する作品のなかでは、もしかしたら一番多いのではないだろうか?
「子熊物語」(88年・仏)といった熊そのものが主人公の映画から、「マタギ」(82年・日)のように人間と熊の戦いを主題とした映画、はたまた、「くまのプーさん」(91年〜・ディズニー)や「パディントン」(14年・英仏)といったアニメまで、さまざまである。
それだけ、昔から人間と関わりが深い野生の猛獣であり、キャラクター化しやすい動物でもあるということなのだろう。
で、暑い夏の夜に涼しくなる熊の出てくる映画というと「デンデラ」(11年)がいいかもしれない。
話の前半は、姥捨伝説をもとにした「デンデラ」という共同体でたくましく生きる老婆たち(浅丘ルリ子や草笛光子とか)の物語なのだが、後半になって恐ろしい人食いグマと婆さんたちの死闘が繰り広げられるホラーといってもいい展開になっていく。
怖いぞ〜!
2023.7.15
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207)そこにいるのは誰
http://cinemania.exblog.jp/241842570/
2023-06-25T13:57:00+09:00
2023-06-25T13:57:53+09:00
2023-06-25T13:57:53+09:00
ctkuromame
映画の雑貨店
「普通の家族でいいのよ」と、お母さんは言いました。
でも、ごく普通の家族にもそれはやってきたのでした。
と書くと、なんだかホラーのようにも思えるけれど、ありきたりの日常に紛れ込んでくる起こりがちな出来事のもたらす痛みを描いているのが「怪物」である。
シングルマザーの早織は
小学生の湊と大きな湖のある町で暮らしていた。
どうということのない日々の暮らしのなかに、早織はふとした違和感を感じるようになる。
それは、湊のちょっとした行動の異変。
学校で何かあった? いじめ? 担任の暴力?
その疑問と不安にかられた早織は、ひとり学校へと出かけて行ったのだった。
登場人物たちそれぞれの視点から物語が語り直されていくので、黒澤明の「羅生門」(あるいは、その原作の芥川龍之介の「藪の中」)と比べる感想をよく見かける。描かれない謎がいくつかあるといった…。
その辺は、個人的にはちょっと違うと思う。
説明されなかった謎はなかったと思うから。
映画のなかでは、語られる視点が変わるだけで、食い違う物語は描かれてはいない。
なぜ食い違うように見えるのかもちゃんと描かれていたし(子供たちや教師たちの嘘も含めて)。
山のなかの廃電車の秘密基地の子供たちは、「銀河鉄道の夜」のジョバンニとカムパネルラを思わせる。
カンヌ国際映画祭で、脚本賞とクィア・パルム賞を受賞。
2023.6.23
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206)匂へる青春
http://cinemania.exblog.jp/241827628/
2023-06-12T16:04:00+09:00
2023-06-12T16:04:15+09:00
2023-06-12T16:04:15+09:00
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映画の雑貨店
江戸の底辺に住む人間たちの長屋での出来事を描いた映画というと、黒澤明の「どん底」(57年)があったなあ。 一番印象に残っているのは、左卜全演じるお遍路で、彼がただの変なお爺さんではなく、実に名優なのだなと認識を改めた作品。
やはり、江戸の底辺の人々の住む長屋を舞台にしたのが「せかいのおきく」。
黒木華演じるおきくは、浪人者の娘で、寺で手習いを教えながら貧乏長屋で暮らしている。
そのおきくが、ほのかに思いを寄せているのが紙くず買いの中次(寛一郎)だったが、ある日中次は、矢亮(池松壮亮)に誘われて汚穢屋になってしまう。
その当時、江戸の人々の胃袋を満たすための農作物を作るのには、干鰯や油粕をはじめとする肥料が必要だったが、なかでも重宝されたのが江戸から大量に排出される人糞だった。
それを、江戸から周辺の農家に運ぶのが下肥買い、つまり汚穢屋だった。
長屋の大家の大きな収入源は、住人たちの排泄物を汚穢屋に売った金でもあったのだ。
そんな他人から蔑まれるような仕事をはじめた中次だったが、おきくの思いは変わらなかった。
だがしかし、ある日父親に降りかかった事件に巻き込まれて、彼女は声を失ってしまったのだった。
時代は、安政から万延の幕末だが、世の中の慌ただしい動きはあまり長屋の住人の上には影を落としてはいないようだ。
うんこをめぐる物語。だが、美しいモノクロ映画だ。
2023.5.20]]>
205)拳を研ぎ澄ませて
http://cinemania.exblog.jp/241827626/
2023-06-12T16:02:00+09:00
2023-06-12T16:02:35+09:00
2023-06-12T16:02:35+09:00
ctkuromame
映画の雑貨店
女性ボクサーが主人公の映画というと「百円の恋」(14年)があった。 32歳で自堕落な引きこもりのニートの一子が、たまたま目にしたボクサーに恋したことから、やがて自分もボクシングに目覚めていくという物語。
主演の安藤サクラが引きこもりのしまらない体から本格的なボクサーになっていく姿が印象的だった。
そしてまた一人、女性ボクサーが登場した。
「ケイコ目を澄ませて」(22年)
主人公の小河ケイコは、ストイックで愛想笑いも苦手なボクサー。
身体能力は素晴らしいが、彼女には大きなハンデがあった。
それは、生まれつきの聴覚障害で耳が全く聴こえないということ。
音が聴こえないということは、ゴングの音もセコンドのアドバイスもわからないということ。
「彼女は目がいいんですよ」と、ジムの会長が言う。
それがタイトルの「目を澄ませ」につながる。
ケイコは、下町の小さなジムに所属して、母に心配されながらプロのボクサーとしてリングに立ち続けている。
いろいろ悩みを抱えながらも、ジムの仲間の助けを借りながらボクサーを続けていたケイコだったが、ある日会長が、そのジムの閉鎖を告げたのだった。
ケイコを演じて主演女優賞を総なめにした岸井ゆきののスパーリング場面など、本物のボクサー並みの迫力だ。
モデルは、実在のプロボクサー小笠原恵子である。
2023.5.13
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204)真のシンの進は?
http://cinemania.exblog.jp/241792830/
2023-05-01T13:09:00+09:00
2023-05-01T13:09:25+09:00
2023-05-01T13:09:25+09:00
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映画の雑貨店
「シン・仮面ライダー」
特撮ヒーローものは、ウルトラセブンの途中くらいまでは見ていたのだが、仮面ライダーは、当時ほとんど見たことはなかった。
石ノ森章太郎(当時は石森)原作のテレビドラマ化作品、特に東映系の作品はなにか子供っぽい作りもあって趣味にあわなかったことも一因だった。
庵野秀明監督による今回のライダーは、子供っぽさとはかけ離れた原作の雰囲気を持った(その分ダークな)作りになっている。
テレビで、制作現場のドキュメンタリーをやっていたが、殺陣に段取りをするなとかワイヤーアクションは嫌だとか、庵野監督のこだわりをそのままスタントマンたちに伝えるのはなかなか大変そうで、言われた方も悩むだろうなあという感じだった。
さて、その結果出来上がった映画は、やっぱり庵野秀明は庵野秀明だなあという(そこをどう判断するかは見る方にお任せするが)ものだった。
監督は、続編を作る気満々のようだ。
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」(21年)のブルーレイが発売されたものを見たのだが、劇場公開時のものにまた細かく手を入れている感じだった。
分かったようでよく分からない話のエヴァシリーズも、最終的には庵野秀明の脳内世界の物語に収斂するものなのだと思うが、その物語の進む先は、彼の生涯ずっと続くのだろうなあという感じがする。
まあ、こんな監督がひとりくらいいてもいいではないか、とも思うけれど。
2023.4.29
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203)じぇじぇじぇの子
http://cinemania.exblog.jp/241780980/
2023-04-17T17:13:00+09:00
2023-04-17T17:13:11+09:00
2023-04-17T17:13:11+09:00
ctkuromame
映画の雑貨店
4月から、NHKの朝ドラ「あまちゃん」が再放送されるようだ。 このドラマで一躍人気俳優になった能年玲奈は、その後名前を奪われて「のん」になってから久しかったが、映画以外の世界に戻れる日も近いのだろうか。
まあ、ひとの本名を奪うなどということは、人権侵害以外の何ものでもないと思うのだが、それが当たり前のように通用してしまう芸能界の闇とは怖いものだなあ。
という話はさておいて、その、のんが主役を演じているのが「さかなのこ」だ。
物語の主人公は、タレントとして活躍する一方、イラストレーターであり東京海洋大学客員教授でもあるさかなクン。
テレビで「ぎょぎょっ!」とか「〇〇でぎょざいます!」などと言いながら、お魚について様々な解説をしている彼である。
さかなクンがなぜさかなクンになったのか、その人生の物語を自伝的エッセイを元に、フィクションを交えながら(というか、かなりの部分がフィクションなのだけれど)主人公を女性に置き換えて描いている。
主人公のミー坊は、お魚が大好きで夢中な小学生。
お父さんは心配するが、お母さんはそんなミー坊を応援してくれる。
冒頭、のんがさかなクンに寄せて演じている部分に少し違和感はあるが、話がはじまると主人公が男であるか女であるかも、実話であるかフィクションであるかも意識から消えて、物語の世界に引き込まれていく。
自分の「好き」を貫く人の青春の一ページ。
2023.4.1]]>
202)大海原の一家
http://cinemania.exblog.jp/241734538/
2023-02-22T21:05:00+09:00
2023-02-22T21:05:36+09:00
2023-02-22T21:05:36+09:00
ctkuromame
映画の雑貨店
前作の「アバター」(09年)から13年。 映像も物語もさらにスケールアップした「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」が公開された。
アルファ・ケンタウリの惑星の衛星パンドラという星で、原住民であるナヴィのアバターの体の中で蘇り、ナヴィ人のひとりとなった海兵隊員のジェイクは、豊かな自然のなかでナヴィの女性ネイティリと家族を作り平和に暮らしていた。
だが、またそこにスカイピープルと呼ばれる地球からの侵略者たちが現れて、彼らの暮らしは一変することになる。
CGと実写の融合映像は、頂点を極めた観がある。
どこからどこまでが実写で、どこからが作られた映像なのかは全く区別がつかない。
物語としては、前作より一層鮮明になったのが、アメリカの開拓時代とのリンクだ。
ナヴィたちとスカイピープルの対立は、明らかにアメリカ先住民(かつてインディアンと呼ばれた)と白人開拓者との対立を先住民側から描いたものだし、クジラに似たタルカンという知的生物を狩って、金になる成分だけを採取してあとは捨ててしまうのは、かつて鯨油と鬚板だけを得るために鯨を獲っていたアメリカ式捕鯨そのものだ。
その場面で、日本の捕鯨を思わせる演出をしたのは、それは違うだろうキャメロン監督、とは思うけれどね。
3時間超えの上映時間は、カイロを貼って乗り越えたが、やはりインターミッションは復活してほしいものだなあ。
2023.2.4]]>
201)うさぎを追いかけて
http://cinemania.exblog.jp/241711197/
2023-01-25T22:23:00+09:00
2023-01-25T22:23:22+09:00
2023-01-25T22:23:22+09:00
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未分類
卯年に、うさぎの出てくる映画でも、と思うのだけれどあまり思いつかないなと考えていたら…うさぎがきっかけではじまるお話といえば「不思議の国のアリス」があったなあと。 イギリスの数学者、ルイス・キャロル(ペンネーム)が、知人の娘のアリスのために即興で語って聞かせたお話が元になってこの奇妙な冒険物語は生まれた。
その後、この作品は各国語に訳され世界に広まり、文学に限らずいろいろな影響を残していくことになる。
さて、そのなかで映像になったものというと、1903年のイギリスの無声映画をはじめとして、2010年のティム・バートン監督による物語の後日譚「アリス・イン・ワンダーランド」まで、さまざまな作品があるが、アリスのイメージを決定づけたのは、何と言ってもディズニーアニメ版の「ふしぎの国のアリス」(51年)だろう。
ある日、アリスは、木陰で姉の読んで聞かせる歴史の本に退屈してこんなことを考える。
「わたしの世界では、すべてが逆さまでごちゃごちゃなのよ」
そこに通りかかったのが、
大きな懐中時計を見ながら「遅刻だ遅刻だ!」と走っていくうさぎ。
思わず彼を追いかけて、深い穴に落ちたアリスを待っていたのは、まさにごちゃごちゃで変な生き物だらけのとんでもなくシュールな世界だった。
原作をなぞりながら、そこに歌と音楽を融合させたお話は、ディズニーアニメのなかでも、とびきり変で楽しい世界になっている。
2023.1.21]]>
200)鍵をかけたら
http://cinemania.exblog.jp/241711196/
2023-01-25T22:22:00+09:00
2023-01-25T22:22:07+09:00
2023-01-25T22:22:07+09:00
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映画の雑貨店
岩戸鈴芽という、母親代わりの叔母さんと暮らしているごく普通の女子高生は、ある日ひとりの男に「この辺に廃墟はないか?」と声をかけられる。 それは、災いをもたらす扉を閉める「閉じ師」を名乗る宗像草太だった。
それがきっかけで、鈴芽は日本各地の災いを封じ込めるための旅にと出かけることになるのだった。
作品のなかに、宮崎駿の世界への壮大なオマージュが散りばめられた作品でもあるように思える。
昨年暮れの一番のヒット映画というと、やはりこの新海誠監督の「すずめの戸締り」になるのだろうか。
新海監督の作品は、どちらかといえばマニアックな世界観(オタク的とも言える)に彩られた内省的な感じのものが多かったのだけれど、「君の名は。」(16年)で、はっきりとメジャーに舵を切ったように見える。
メジャーな路線を狙って失敗することもあるけれど、それは杞憂だったようだ。
「君の名は。」やその次の「天気の子」(19年)もそうだったが、この「すずめの戸締り」も「大きな災いから世界を救おうとするひとびとの物語」だ。
そして、今回は、監督自身が語っているように東日本大震災を題材として取り上げた作品でもある。
あの震災を真正面から語った映画は、実はあまり多くない。
それをエンターテインメント的な作品のなかで描くことで、痛みを感じる人たちも当然いることだろうし、その意味では、そこで評価が分かれる作品であるのかもしれない。
2023.1.6
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199)ふたりの縁側
http://cinemania.exblog.jp/241681806/
2022-12-19T16:26:00+09:00
2022-12-19T16:26:32+09:00
2022-12-19T16:26:32+09:00
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75歳の市野井雪は、夫にも先立たれ、そろそろ人生の終わりについて考える日々を送っていた。 そんな彼女が、ある日書店で偶然手に取った漫画本。
綺麗な表紙に惹かれて開いてみたそれは、今まで彼女が知らなかったボーイズラブの漫画。男の子たちの恋愛を描いた、いわゆる「BL」と呼ばれる世界だった。
やがて雪は、その書店でアルバイトをしている佐山うららという17歳の女子高生と、彼女との共通の趣味のBL漫画がきっかけで友達になる。
老いを重ねていく雪と、今まで何事にも一歩踏み出せずにいたうららの58歳差の友情が、ふたりにメタモルフォーゼ(変身)を促してゆく。
「メタモルフォーゼの縁側」
人は、いやでも老いて行くけれど、「青春そのものには老いはないのだ」と思わせてくれる一本。
雪を演じる宮本信子と、うららを演じる芦田愛菜の関係性が、実にいい味を醸し出している。
大ベテランの宮本信子がうまいのはもちろんだが、やはり芦田愛菜の自然体の姿がいい。
天才子役と呼ばれる役者は、今までにも数々現れては消えていったが、大人になってもそのままいい役者でいられる人は、あまり多くはなかった。
彼女はそのなかの数少ないひとりなのだろうと思う。
芦田愛菜が、このまま女優の道を進むのか、また別の生き方を選ぶことになるのかは分からないが、彼女だったら、間違いのない道を行くのだろうなあと思わせる女優ではある。
2022.11.19]]>
198)ほんとの友だち
http://cinemania.exblog.jp/241681804/
2022-12-19T16:25:00+09:00
2022-12-19T16:25:09+09:00
2022-12-19T16:25:09+09:00
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映画の雑貨店
少年たちの冒険を描いた映画というと、やはり「スタンド・バイ・ミー」(86年)を思い浮かべる人は多いのだろうなあ。あれは、死体があるという話を聞いた4人が、その死体を探しに行くという話だったけれど、その映画公開と同じ年の86年の長崎で、ふたりの少年がイルカがいるという島へと出かけるのが「サバカン SABAKAN」だ。 小学5年生の久田のクラスには、竹本というちょっと風変わりな少年がいる。
貧乏な家の子で、一年中短パンとランニングで過ごし、他の子とは交わらず孤高を保っている。
その竹本が、ある日唐突にイルカ探しにブーメラン島に行こうと久田を誘いに来る。
訳のわからぬまま竹本とそのちょっとした冒険旅行に出かけた久田だったが…。
ふたりを囲む大人たち、少々下品で元気が良すぎる久田の両親や働き者の竹本の母も、ヤンキーが恐れる若い男やその彼女も、竹本の天敵であるみかん農家のじいさんや他の大人たちもみんな心根は優しい。
同じような構図の少年たちの友情を描いた96年の「絵の中のぼくの村」という作品があった。
こちらは、双子のきかん坊の男の子と、彼らと仲良くなる野生的な不思議な少年の話だったが、やはり、心のあたたまるいい映画だった(双子の絵本作家、田島征三の自伝的エッセイが原作。ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞)。
友情とは何か、人を思いやるとは何か、じんわりと問いかけてくる映画たち。
いずれも傑作だと思う。
2022.9.17]]>
197)歯を持つものたち
http://cinemania.exblog.jp/241575258/
2022-09-07T16:15:00+09:00
2022-09-07T16:16:00+09:00
2022-09-07T16:16:00+09:00
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1822年、イギリスの田舎の医者だったマンテルは、道路の工事現場でひとつの化石を見かける。
それが、世界で最初に恐竜と認定されたイグアノドンの歯の化石だった。
(それ以前にも化石は発見されていたのだが、恐竜のものとは思われていなかったのだ)
それから200年経った今年、「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」が公開された。
ジュラシックシリーズ最初の「ジュラシック・パーク」(93年)が公開されてから、もう30年近い年月が流れた。
月日の経つのは早いなあとは思うが、恐竜が滅んでから6700万年過ぎたことを考えれば、ほんの瞬きする程度の間かもしれない。
だが、その短い時間の間にも、映像技術は格段に進歩している。
その技術によってスクリーンに蘇った恐竜たちと、人類が支配権をかけて戦いを繰り広げるのが、今回の「新たなる支配者」だ。
人間のコントロールから外れた恐竜たちや、違法な手段で彼らを手に入れて金にしようとする人間、そして、生物の遺伝子の操作で富と権力を一手に収めようと企む者。
果たして世界を手中に納めるのは誰なのか、両者の共存などできるのか?
マンモス復活ですらまだ夢の世界だから、実際に恐竜が蘇る可能性はまずないだろうが、もし実現したとき彼らと生存競争をするような世界にならないことを祈るばかりだ。
え? 人間の世界よりましかもしれないって?
2022.8.27]]>
196)駅に着いたら
http://cinemania.exblog.jp/241555753/
2022-08-15T14:08:00+09:00
2022-08-15T14:08:05+09:00
2022-08-15T14:08:05+09:00
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映画の雑貨店
上田ロケの怪談やホラー映画は、「学校の怪談4」「うずまき」「リング0 〜バースデイ〜」等々あるが、そこにまた新たなホラーが加わった。「きさらぎ駅」である。
2004年の1月8日、ある女性の体験談がリアルタイムでネットの匿名掲示板に書き込まれた。
彼女は、この世には存在しないはずの「きさらぎ駅」にたどり着いてしまい、その異世界での出来事を綴るうちに、突然書き込みが途絶えてしまう。
いわゆるネットの都市伝説だが、その話は十数年たっても消えることなく、現代の「神隠し」として今も語り継がれている。
その「きさらぎ駅」の世界をスクリーンに描き出したのがこの作品だ。
物語は、現在の大学で民俗学を学ぶ堤春奈が、その話の真偽を探ろうと、掲示板への投稿者と噂されていた葉山純子という女性にコンタクトを取ったことから、大きく動きはじめる。
果たして、本当に「きさらぎ駅」などという駅はあるのだろうか。
そして、そこから逃げ出すことはできるのか?
映画のなかで最も重要な舞台「きさらぎ駅」になったのは、上田電鉄別所線の「八木沢駅」。
八木沢駅は、他の映画でもよく登場している。
レトロで素朴な佇まいが、いろいろな作品のイメージに似合っているのだろう。
他には、旧宣教師館や塩野神社など、上田の各地がロケ地になっている。
立秋にはなったけれど、残暑に上田ロケのホラーもまた一興かも。
2022.8.13]]>
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