「Dr.パルナサスの鏡」
現代のロンドンの街の片隅に、馬車を舞台に仕立てた、インチキ臭い見せ物一座がやって来る。
パルナサス博士が見せる、鏡のなかのイリュージョンが出し物なのだが、実は、博士はもともとはある国の高僧だった人物で、千歳を超えた不死の人だった。
その博士の娘ヴァレンティナが16歳を迎えるとき、博士に不死を与えた悪魔がやって来て、約束通り娘を渡せと迫る。
そこに、ヴァレンティナに命を救われたトニーという男がからんで来たことから…。
お話も波乱万丈だが、映画の制作そのものも平穏無事には行かなかった。 撮影途中で、トニー役のヒース・レジャーが亡くなってしまったのだ。
だが、ヒースの役をジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルという彼の友人たちが引き継いで、絢爛たる幻想に満ちた世界を完成させたのだった。
監督のテリー・ギリアムはアニメーターとして出発した。生まれはアメリカだが、イギリスのコメディ・ユニット「モンティ・パイソン」唯一のアメリカ人でもあった。
そのためか、彼の映画のテイストは、イギリス流のブラックユーモアに彩られ、多くのハリウッド映画とは一線を画している。
映像的には面白い映画なのだが、イギリス流のユーモアというのは、もうひとつ日本人の感性とは合わないというか分かりにくいところがあって、これも見る人によってかなり意見の分かれる作品ではあると思う。
2010.2.27