宮崎駿監督は、私より10才少し年上。息子の宮崎吾朗監督は私より10才ほど下の世代。
「コクリコ坂から」の世界は、オリンピックを目前にした63年が舞台だから、まさに宮崎駿の青春時代に当たるころだ。
みんなからメルと呼ばれている海は、高校2年生。 父を海難事故でなくし、母を助けて下宿屋の切り盛りをして忙しく毎日を送っている。
彼女の日課は、毎朝海の見える庭で船の安全を祈る信号旗をあげること。
メルの通う学校では、カルチェラタンと呼ばれる文化部部室の取り壊しをめぐって、反対派の運動が起ころうとしていた。
そんなある日、メルは、新聞部の3年生で反対運動の先頭に立っている俊と知りあう。
次第に引かれあうメルと俊だったが、ふたりの間には意外な秘密が…。
前作の「ゲド戦記」では、あまり芳しくない評価をされてしまった宮崎吾朗だが、
この青春学園ラブストーリーは、まずまずの出来になっていると言えるだろう。
私くらいの世代にとっては、あの時代の、貧しいけれどみんなが未来に希望があると信じて生きていたころの青春ドラマが、心地よく繰り広げられている。
ただ、それは、一種の懐古趣味と言えなくもない。
もちろん、懐古しているのは、監督ではなく脚本を書いた父の方であろう。
企画・脚本をやるのであれば、なぜ宮崎駿は自分で監督しなかったのだろう?というのは素朴すぎる疑問だろうか。
2011.9.24