是枝裕和監督の「そして父になる」が、第66回カンヌ国際映画祭で、グランプリは逃したが、審査員賞に輝いた。
是枝監督とカンヌといえば、04年の第57回の映画祭では、監督作品の「誰も知らない」で、主演の柳楽優弥が14歳の若さで最優秀男優賞を獲得している。
「誰も知らない」は、父親のいない、そして無責任な母親に置き去りにされた子どもたちの物語であり、「そして父になる」は、6年間育てた我が子が取り違えられた子と知った家族の物語。
最近放送された南信を舞台にしたテレビドラマには「ゴーイング マイ ホーム」があるが、そのドラマで姉弟を演じていたYOUと阿部寛が、同じような姉弟役で出ていた「歩いても歩いても」(07年)は、若い頃亡くなった長男の法要の日という、ごく普通の家族のごく当たり前の日常に生まれる、ちょっとした心の溝とその修復みたいなものを描いていた。阿部寛の演ずる次男も再婚相手と新しい家庭を作ろうとしていたり、是枝作品には、大上段に構えてはいないが「家族って何だろ?」という問いかけがいつも漂っている。
◆
今年のカンヌでは、06年のうえだ城下町映画祭自主制作映画コンテストでグランプリになった「陸上生活」の佐々木想(おもい)監督の「隕石とインポテンツ」も短編コンペティション部門に選出された。入賞はできなかったものの、カンヌに出品されるというだけでも大変な出来事。
佐々木監督のこれからの活躍も楽しみにしたい。
2013.6.15