「WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~」
主人公の平野勇気は高校は卒業したものの、大学受験には失敗し、彼女にはふられ、明日の目的もつかめぬ日々を送っていた。
そんなとき、彼はふと目にしたパンフレットの表紙の美女の笑顔に釣られて、林業研修プログラムに参加することになる。
そして勇気がたどり着いたのは、バス停すらなく、携帯もつながらぬ山のなかの神去村。
その村で軟弱で能天気な彼を待っていた日々とは…。
原作は、「舟を編む」の三浦しをんのベストセラー小説。
監督は、「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」「ロボジー」等々、いまや青春コメディー映画を撮らせたら第一人者と言っていい矢口史靖。
百年以上も経たなければ商品にならない木々を相手にする生活。そのなかではどんなちっぽけな男も成長せずには生きていけない。
前半にこそ、矢口監督お得意のしょうもない小ネタのギャグがちりばめられているものの、主人公の成長とともに映画そのものも骨太の物語になっていくのが感動的ですらある。
力の入った大作アクションや、CG満載の3Dアトラクションムービー、華やかなミュージカルアニメなども勿論映画の楽しみのひとつではあるけれど、内容的には大同小異の傾向の作品が増えているなか、気楽に楽しめて、しかも日常の人間ドラマで勝負しているコメディーは、やはり映画の原点だよなあと思うのである。
2014.5.24