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『SFは絵だ』という名言がある。 これは、決して『SFが映像で表現出来る』という意味ではない。 お間違えなきよう。 「ジュラシック・パーク」 (1992年/監督ステイーブン・スピルバーグ/サム・ニール、ローラ・ダーン) まあ、今更ストーリーをご紹介するまでもないとはおもうが……。 * コハクの中に閉じ込められた蚊の体内から恐竜の血液を採取して、そのDNAを解析し、恐竜を再生させようと考えた男がいた。 男は、その恐竜達を使ってテーマ・パークを造ろうとした。 だが、事はそう簡単には運ばず、恐竜は逃げ出すわ、DNAの欠落部分をカエル(なぜ鳥類ではなくて、両生類なのかは説明されていない)※ の遺伝子で補ったため、雄しかいないはずの恐竜達は、勝手に繁殖を始めてしまうわの大騒ぎ。 さて、恐竜に追い詰められた人間達は……。 * とまあ、簡単にまとめるとこんな話である。(え、まとめすぎだって?) とにかく恐竜が良くできている。CGによるガリミスムの群の疾走場面は、ちょっとアニメーションめいていたが、病気のトリケラトプスやキッチンのヴェロキラプトル、そのヴェロキラプトルに襲いかかるティラノサウルスは実に生き生きと描かれていた。 1979年に作られた「恐竜の惑星」(ジェームス・K・シェア/米)という映画がある。まあ、ドラマの内容は学芸会レベルの作品だが、SFXは、当時の一流所が集まって作ったというふれこみである(ハリー・ハウゼンもゲストで恐竜を動かしている)…のだが、そのコマ撮りで作られた恐竜達の動きが、何とも間抜けで生命力が感じられないのである。 なぜだろう、と考えて見たら、彼等の動きが殆ど実在の動物との共通項がない事に気が付いた。というより、ジュラシック・パークの恐竜達が、いかに実在の生物の行動パターンを忠実に模倣しているかに気が付いたのである。 つまり、ジュラシック・パークの恐竜の成功は、SFX技術の成果ではなく、まさに演技指導の賜なのである。(勿論、SFXがよりリアルな画面を造り上げているのは言うまでもないが) というわけで、とにかく恐竜が実によくできている映画であった。 で、SF映画としてどう見るか、という話になるのだが……。 その前に、正直に言ってしまうと、これまで、スピルバーグの作品を見て、「バック・トゥー・ザ・ヒューチャー」を含めて、SF映画を見ているという感じがしたことは殆どなかったのである。 こう言うと、「未知との遭遇」があるじゃないか、「E.T.」はどうした、という声が雨あられのように降ってきそうだが、「ありゃあ、SFじゃあないんだよ」と、私は断固として言い切ってしまうのだ。 UFO=SFという誤解が未だに根強く世間一般には浸透してしまっているのだが、UFOが登場したからといって、それだけでお話がSFになるという事にはならないのである。 「未知との遭遇」も、「E.T.」も、本質的にはファンタジーにほかならない。(ファンタジーというより、おとぎ話と言った方がより適切かもしれないが)UFOの乗員も、E.T.も、一応異星人という設定にはなっているが、あれは、少しばかり見掛けがちがう地球人といった程度の差でしかない。 SFの方では、異屋人との最初の接触を描いたものを「ファースト・コンタクトもの」と言うのだが、ああも簡単に意思の疎通ができてしまっては面白くも何ともなくなってしまうのである。 いかに、地球人と異質な「生命」、「知性」を表現できるかを問われるのがSFなのだし、その異質さを克服して意思を通い合わせる事に成功してこそ正にSF的な感動が生まれるのである。 (その意味では、「エイリアン」や「遊星からの物体Ⅹ」の生命体の方が、むしろよっぽど正統派の宇宙人(?)なのかもしれないのだ) だから、「未知との遭遇」や「E.T.」には、人間ドラマとしての感動はあるが、SFとしての感激は覚えなかったのである。 ……と、どうも話が理屈っぽくなってしまった。 「ジュラシック・パーク」は、だから、スピルバーグにしては珍しく『SFらしいSF』なのである……のだが、この作品がSFとしてちゃんと成り立っている影に原作者のマイクル・クライトンの存在があることを忘れることは出来ない。原作は、さすが才人クライトンという出来(映画化を意識して書いたことが見え見えの書き方ではあるが)だが、映画の中でスピルバーグがやって見せてくれたのは、恐竜を見事に生き返らせてみせてくれたことだけである、と言い切ってもいいかも知れない(ちょっと酷な言い方かもしれないけどね)。 ドラマとしてみたら、「ジュラシック・パーク」は、お子様向けの冒険ドラマの域を決して抜け切れてはいない。 この、ある意味ではスピルバーグ作品の魅力の一つにもなっている子供っぽさは、反面SFの表現にとっては重大な欠点にもなりうるのである。 SFにとって、子供にしかできないような発想の転換は、確かに不可欠な物ではあるのだが、それだからといって出来上がった作品が子供だましになっていいという事にはならない。 ディズニーのSFものを見て、本格的なSFだなあと感じる人は余りいないと思うのだが、「ジュラシック・パーク」は、そのディスニー的な尻尾を引き摺ったまま(洗練されてはいるが)生まれてきた映画なのではないか(というより、スピルバーグ本人が、ディズニーの殻から抜け切れずにいると言った方がいいのかもしれないが)という気がするのである。 確かに家族みんなが安心して見られて、めでたしめでたし、で終わってしまうSFがあってもいいのだが、せっかくあそこまで恐竜をリアルに作り出して見せてくれた「ジュラシック・パーク」の世界の中では、やはりそれ以上のインパクトを期待してしまうのである(恐竜がリアルすぎて子供が怖がったとか、人間が食われちまうのは残酷だとかいうのは、また別の話である)。 SFファンの間では、「ジュラシック・パーク」の評価が高くないのも、その辺りに原因がありそうだ。 見掛けの派手さに気を取られていると、SFとしての面白さが薄いのに気が付かないで見終わってしまうことがある。その辺が映像SFの怖いところなのだ。(最も、これはSFファン以外の人達が気にする問題じゃあないけれどね…) 『SF的な映像=SF』とは行かないところが、ま、実に困ったところなのですよ……。 ▼ 「ファースト・コンタクト」の話が出たことであるし、次回は「2001年宇宙の旅」でも。 ※「恐竜クライシス」ハト・アダム・ナイト(英)という、「J.P.」より十年も前に書かれた作品の中で、この手は使われてしまっている。この作品の方が、「J.P.」より面白いかもしれない。 1995.4.15
by ctkuromame
| 2005-09-08 09:43
| 少しばかりSFな日々
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