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スピルバーグは、つくずくファンタジーの人なんだなあ。
キューブリックがこれを見たら何と言うのだろうか、というような余計なことばかり考えながら見ていた。 『A.I.』 (2001年/米/監督 スティーブン・スピルバーグ/ハーレイ・ジョエル・オスメント/ジュード・ロウ/フランシス・オーコナー/サム・ロバーズ) * 舞台は世界の多くが海面上昇で水面下に没し、資源の枯渇にあえぐ近未来。 産児制限のために、子供を持つためには厳密な規制が敷かれている。 スウィントン夫妻には、一人の息子がいるのだが、治療不能の病気のために、人工冬眠状態で眠り続けている。そんな二人は、息子の顔を見て童話を読んでやることしかできない。 夫のヘンリーの勤める会社は、ロボットを開発しているのだが、スウィントン夫妻のような人間達のために、感情を持った人工知能(A.I.) ロボットを作り上げる。 ある日、夫妻の前に現れたのは、人間の男の子と見分けのつかない姿と動きを持ったデイビッドというA.I.だった。 はじめは拒否反応を示していた妻のモニカも、次第に心を引かれるようになり、ついに彼を養子として受け入れる決心をする。 デイビッドは、本当の子供のような感情を示すようになり、一見、幸せな家族が誕生したかに見えたのだが、そこに思いがけない事態が舞い込んでくる。 スウィントン夫妻の実の息子の病気が奇跡的に治って、家に帰ってきたのだ。 息子とデイビッドとの間で揺れ動く感情に次第に追い込まれていくモニカは、ついにデイビッドを森の中に捨ててしまう。 孤児となったデイビッドは、さまざまなロボットたちと共に、ロボットの存在を憎む人間達に追われているうちに、ジゴロ・ジョーというラブ・ロボットと共に、愛される事を求めながら、永い放浪の旅へと出かけることとなる。 * 先年亡くなったキューブリックの遺品とも言えるアイデアを託されたスピルバーグが、脚本・監督した作品であるが、出来は、というと、残念ながらとても褒められた内容ではない。 なんといっても一番の難点は、上映時間が長すぎて、途中で飽きてしまうことである(よっぽど途中で帰ろうかとも思ったのだが、どこかで違った展開を見せるかもしれないと思って、最後まで付き合ったのだが)。今までのスピルバーグの作品だったら、少々駄作でも、ここまでだれることもなく、最後まで一応飽きずに見ていられたのだが、こんなことは初めてだった。 なぜ、そんなことになったか、考えてみると、この映画は、デイビッドが捨てられる前と後では、明らかに大きくトーンが分断されてしまっているからのようだ。 その分岐点までは、何とかSFらしい展開を持っていたドラマが、デイビッドがさ迷い始めたところから、べたべたのディズニー調のファンタジーに転がり落ちていってしまうからだ。 別に、ファンタジーが悪いと言っているのではない、一貫したトーンを保ちえなかったスピルバーグの脚本にがっかりしただけなのだ。 ご本人が亡くなってしまったから、今更聞きようもないが、キューブリックの意図したところを、スピルバーグはどれだけくみ取れたのだろうと、首をひねってしまった(案外、キューブリックもべたべたのファンタジーを作ってみたかったりして…)。 SFXの発達だけを待って、時間が過ぎてしまったのだとしたら、キューブリックは待ちすぎたというべきか。 * 継母による子捨て(実際には殺そうとしたのだが)、放浪、死に等しい眠り、何者かによる覚醒と、求めていた幸せの発見。 そう、これは「白雪姫」の骨格だが、「A.I.」の物語の底流には、まさに同じドラマが隠されている。 「A.I.」が、ピノキオ物語と言う人は多いが、実は、それだけではなく、ここには様々なディズニー的なものが詰め込まれているのだ。 スピルバーグがディズニーに憧れ、さかんにオマージュ的な作品を作っているのは、今更指摘するまでもないだろうが、それが彼の作品のどこか子供っぽさが抜けきれない要因になっているのも、又事実だと思うのだ。 キューブリックが作りたかったのは、確かに子供の形をした人間同様の感情を持ったロボットの話だったのかも知れない。 スピルバーグが作ったのも確かに子供の形をした人間同様の感情を持ったロボットの話ではあった。だが、しかし、フィルムに刻まれた物語は、おそらくキューブリックの理念とは全く違ったものになってしまったのかもしれない。 ★ オスメントの演技力だけが救いだった、と言ってしまっては、言い過ぎだろか? やっぱり、キューブリック本人の作った「A.I.」を見てみたかった。 2001.7.11
by ctkuromame
| 2005-09-30 11:12
| 少しばかりSFな日々
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