読書の秋ということで、なにか「読書」と「映画」と「10月」でないかと思って(三題噺だね)ネットで10月21日を検索すると…おや、フランソワ・トリュフォー監督の命日。 そういえば、彼の作品にイギリス映画の「華氏451」(66年)というのがあった。
華氏451度というのは、紙、すなわち本が自然発火する温度(摂氏にすると、約233度)。
舞台は、情報はすべてテレビなどから伝えられるものだけで、本を読むことがかたく禁じられた近未来の社会。
ファイアマン(本来は、消防士のことだが、この世界では禁書を燃やすのが仕事になっている)のモンターグは、ある日妻リンダにそっくりなクラリスという若い女から手渡された本を読んだことがきっかけで、読書の魅力に引き込まれてゆく。
だが、妻の嫉妬から密告され、自分の本を焼かねばならない立場に追い込まれた彼は…。
原作は、レイ・ブラッドべリの「華氏451度」。 情報統制、思想統制という意味では、オーウェルの「1984」にも通じる世界だ(こちらは、権力側の都合で日々情報が書き換えられる世界だったが)。
まだ、インターネットという概念そのものがなかったころの話だから、今だともう少し複雑なプロットになったかもしれないが、手段の差こそあれ、自分の意志で情報を取捨できないような社会が来るか来ないかは、われわれ個人個人の肩にかかっていることに今も変わりはないだろう。
2017.10.21