
「ひまわり」(70年)
ロシアによるウクライナ侵攻がはじまって、この映画が記憶の中から立ち上がった人も多いのではないだろうか。 2年前からは、50周年のレストア(修復)版が公開されてもいるから、それで見直した、あるいは初めて見たという人も多いかもしれない。
第2次世界大戦下のイタリア。ジョバンナ(ソフア・ローレン)と兵士のアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、恋に落ち結婚するが、新婚生活を伸ばそうと仮病を使ったアントニオは、懲罰でソ連戦線へと送られてしまう。
終戦後、行方の分からないアントニオを探すジョバンナは、彼が敗走中倒れたという話を聞いてソ連のウクライナへとやってくる。
そこで彼女を待っていたのは…。
この映画のなかでも印象的な、ひまわりが一面に咲き乱れる場所にあるイタリア兵たちの墓所のシーンのロケ地には、諸説あってはっきりしなかったのだが、ウクライナ中部のチェルニチー・ヤール村のようだと最近わかったという。
第二次世界大戦後のイタリアの捕虜に対するソビエトの扱いによる犠牲者を隠すために、ロケ地が曖昧にされてしまったようだ。
それもあってか、ソ連時代にはこの映画が上映されることはなかったそうだ。
戦争で幸せになる人間など存在しない。
もし、戦争を始めたことで幸福だと感じるのだとしたら、その存在はすでに「人」を捨ててしまったということでしかないだろう。
2022.4.30