「ママの遺したラブソング」(04年)。
中身からすると、邦題がなんだか甘くなりすぎた気もするけれど…。
「学校にも行かず、恋人とじだらくな生活を送っていたパーシーのもとに、幼いとき別れて以来会っていなかった母が亡くなったという知らせが届く。
母親が住んでいたニューオーリンズの生家に帰ってみると、そこには見知らぬふたりの男が暮らしていた。
母の友だちで元文学部の大学教授ボビー・ロングと、その教え子で作家志望の青年ローソンだという。
こうして、三人の奇妙な共同生活がはじまったのだが…」
パーシーを演じているのは、「ロスト・イン・トランスレーション」(03年)のスカーレット・ヨハンソン。そして、大学教授は、ジョン・トラヴォルタ。
文学教授のジョン・トラヴォルタ?う〜ん、どうなんだ?という思いで見はじめたのだが、それは杞憂に終わった。
トラヴォルタの芝居は、かなりくせがあって、正直言うとあまり好きではなかったのだが、この映画のなかでは、少々偏屈な酒飲みの教授をいい味で演じてみせている。
その教授たちとの出会いによって、目的もなく生きていた少女が、自分の人生とちゃんと向きあってゆくようになる物語だ。
全編にちりばめられる文学作品からの引用、彼らを囲む、ちょっと風変わりだがあたたかい人びと。
そんななかで、母親の記憶がないのは、彼女だけ。
親と子のさまざまな問題が起きている今日この頃。誰かの押し付けでなく、親子のきずなとは何かを考えさせてくれる一本だ。
2007.6.2